東北6県、人口減少の現在地。PART 2

出生率と若者流出。「二重の人口減少」から見える東北のこれから

東北6県では、人口そのものが減っているだけではない。

子どもの割合が減り、働く世代が減り、高齢者の割合が増えている。そして、その背景では「生まれる人より亡くなる人が多い」という自然減と、「入ってくる人より出ていく人が多い」という社会減が同時に進んでいる。

前編では、東北6県それぞれの人口構成と、若い世代を中心とした人口流出を見てきた。

後編ではもう一歩踏み込み、なぜ人口減少が続くのか。そして、東北では今何が起きているのか。出生率と人口移動の数字から考えてみたい。


「地方だから出生率が高い」は、もう過去の話になりつつある

かつては、大都市圏より地方の方が子どもを持つ家庭が多いというイメージがあった。しかし、東北6県を見ると、その構図は変わり始めている。資料では青森県の合計特殊出生率は2013年頃の約1.50から、2024年には1.14まで低下。宮城県では2023年に1.00という非常に低い水準となっている。岩手、秋田、山形、福島についても、長期的には停滞または低下傾向にある。

つまり現在の東北では、

若者が減る。

子どもを持つ世代そのものが減る。

出生数がさらに減る。

次の世代も少なくなる。

という循環が始まっている。出生率だけを上げれば人口問題が解決する、というほど単純な状況ではなくなっている。


東北を人口減少させている「二つの減少」

人口が減る原因は、大きく二つに分けることができる。

一つは、出生数 < 死亡数となる「自然減」。もう一つが、転入者 < 転出者となる「社会減」だ。東北ではこの二つが同時に起きている。資料でも、多くの東北各県では出生数より死亡数が多い自然減に加え、県外への転出超過が続く「二重構造」が人口減少を加速させていると整理されている。人口問題というと、「少子化」が最初に語られやすい。しかし東北の場合、それだけではない。

子どもが生まれにくくなっている地域から、これから子どもを持つ可能性のある若い世代まで流出している。

ここに問題の難しさがある。


最も流出しているのは、これから地域をつくる世代

前編でも触れたように、東北各県では10代から20代の県外流出が目立っている。進学をきっかけに地元を離れる。大学卒業後、そのまま都市圏で就職する。

地元に戻りたくても、希望する仕事や待遇が見つからない。こうした一人ひとりの選択が積み重なり、地域全体の人口構造を変えている。

例えば福島県では、15〜24歳の若い世代が転出超過の中心となっており、2012〜2021年の転出超過累計では女性が男性を大きく上回っていると資料では整理されている。問題なのは、単純に「若者が一人減る」ということではない。20代の一人が地域から離れれば、その人が将来つくるかもしれなかった家庭や、その次の世代まで地域人口から失われる可能性がある。人口流出の影響は、数十年後まで続いていく。


東北最大の都市・仙台も例外ではない

東北の人口を見るうえで、宮城県は少し特殊だ。

仙台という100万都市を抱え、東北各県から人口を集める側でもある。震災後には復興需要などによる転入超過も見られ、他の東北5県とは異なる人口移動を経験してきた。しかし宮城県も、人口問題から自由なわけではない。資料では、若年層、とりわけ20代を中心に東京圏への流出が大きく、2023・2024年には東京圏への転出超過率が全国でも非常に高い水準になっているとされている。つまり、

地方 → 仙台 → 東京圏

という人口移動も存在する。東北の中では「集める側」である仙台も、日本全体で見れば東京へ人を送り出す側になる。ここに東北の人口問題のもう一つの構造が見えてくる。


人口は「均等」に減っていかない

人口減少という言葉だけを見ると、地域全体から少しずつ人がいなくなっていくように感じる。

実際には違う。

人口は、地方部から県庁所在地へ。県庁所在地から仙台へ。仙台から首都圏へ。というように移動しながら減っていく。その結果、同じ東北の中でも、人が集まる地域と、急速に人口が減る地域。若い世代がいる地域と、高齢者が大半を占める地域。住宅需要のある地域と、空き家が増え続ける地域。その差がさらに大きくなる可能性がある。人口減少は、「東北全体が同じ割合で小さくなる」という問題ではない。

地域の形そのものが変わっていく問題なのである。


人口が減ると、何が変わるのか

人口減少の影響は、単に街を歩く人が少なくなることではない。働く人が減る。店を利用する人が減る。

住宅を必要とする人が減る。学校に通う子どもが減る。

公共交通を利用する人が減る。一方で、高齢者の割合は増え、医療や介護を必要とする人は増える。

資料でも、少子化と若年層流出によって年少人口・生産年齢人口が減少し、高齢者割合が上昇する構造が示されている。これまで人口が増えることを前提につくられてきた街を、人口が減る時代にどう維持するのか。

これが今後の東北にとって非常に大きなテーマになる。


「人口を増やす」だけが答えなのか

各自治体では、移住支援、子育て支援、企業誘致、住宅支援など、さまざまな人口減少対策が行われている。

もちろん、それらは必要だ。しかし現実の数字を見ると、もう一つ考えなければならないことがある。

人口減少そのものを止めることだけではなく、人口が減っても暮らし続けられる地域をどうつくるのか。

という視点だ。100人で維持していたものを70人でどう維持するのか。すべてを残すのではなく、何を残すのか。行政、交通、医療、商業、住宅、教育。

人口減少は、それらをもう一度組み直すことを地域に迫っている。


東北は「なくなる」のではなく、形を変えていく

人口統計を見ると、どうしても暗い数字が並ぶ。

出生数は減り、若い世代は流出し、高齢化率は上昇している。しかし人口が減ることと、地域の価値がなくなることは同じではない。東北には、長い時間をかけて形成された街があり、文化があり、自然があり、人の暮らしがある。問題なのは、それをこれまでと全く同じ形で維持しようとすることなのかもしれない。

人が減るなら、街のつくり方も変わる。

働き方も変わる。

住宅のあり方も変わる。地域と人との距離も変わる。

これからの東北を考えるときに必要なのは、

「どうすれば昔の人口に戻せるのか」だけではなく、「これからの人口で、どんな地域をつくるのか」という視点なのではないだろうか。

人口減少は、すでに未来の話ではない。

数字の向こう側で、東北の形は静かに変わり始めている。

編集部 フランク・ミサオ

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