2015〜2025年の住宅着工統計から、住まいの数と内訳を見る
並んで建てられている家を見ると、同じような外観でも、玄関の向きや窓の位置が少しずつ違います。
完成して誰かが住み始めれば、庭やカーテンにも違いが出てくるのでしょう。工事中の住まいには、まだ暮らしの気配がありません。
福島県では、どのような住宅が新しく建て始められているのか。2015年から2025年までの着工戸数を、持家・貸家・分譲住宅に分けて見ていきます。
住宅を、建てる目的で分ける
住宅着工統計の「持家」は、建築主が自分で住むために建てる住宅です。「貸家」は賃貸するため、「分譲住宅」は建売りや分譲のために建てる住宅を指します。
分譲住宅には、建売りの一戸建てと分譲マンションの両方が含まれます。外観が一戸建てでも、建てる目的によって区分は異なります。
このほか、会社などが社員・職員を住まわせるための「給与住宅」があります。総戸数は、この四つの合計です。
また、数えているのは工事に着手した住宅の戸数。完成した戸数や、販売・入居した戸数とは区別して読みます。
10年間の数字を、途中の年も含めて見る
福島県の新設住宅着工戸数は、2015年の15,568戸から、2025年の6,880戸へ減りました。両年を比較すると8,688戸、55.8%の減少です。
ただ、その間には、2015年より多く着工された年もあります。
| 年 | 総戸数 | 持家 | 貸家 | 分譲住宅 | 給与住宅 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2015年 | 15,568 | 7,241 | 6,744 | 1,497 | 86 |
| 2016年 | 18,422 | 7,120 | 8,814 | 2,182 | 306 |
| 2017年 | 14,710 | 6,302 | 6,231 | 1,951 | 226 |
| 2018年 | 12,761 | 5,886 | 4,569 | 2,114 | 192 |
| 2019年 | 11,043 | 5,173 | 3,419 | 2,380 | 71 |
| 2020年 | 9,868 | 5,129 | 2,811 | 1,864 | 64 |
| 2021年 | 9,791 | 5,355 | 2,550 | 1,814 | 72 |
| 2022年 | 9,330 | 4,609 | 2,416 | 2,132 | 173 |
| 2023年 | 8,444 | 4,089 | 2,488 | 1,856 | 11 |
| 2024年 | 7,517 | 3,576 | 2,437 | 1,448 | 56 |
| 2025年 | 6,880 | 3,224 | 2,261 | 1,303 | 92 |
※単位は戸。国土交通省「建築着工統計調査」の年次表によります。各年1〜12月の年計で、2015〜2025年の11年分を並べ、10年間の変化を見ています。
この期間で総戸数が最も多かったのは、2016年の18,422戸でした。その後、2025年まで9年連続で前年を下回っています。
2025年は、前年の7,517戸から8.5%減りました。10年前との差と、直近一年の変化を並べると、減少の期間や規模を分けて読むことができます。
貸家の減少が、内訳を変えている
貸家は、2015年の6,744戸から2025年の2,261戸へ、66.5%減りました。
総戸数に占める割合も、43.3%から32.9%へ下がっています。戸数と割合の両方で、貸家の位置づけが変わりました。
途中を見ると、2016年には8,814戸が着工され、持家の7,120戸を上回っています。一方、2025年は持家3,224戸に対し、貸家2,261戸でした。
ただし、貸家の着工が減ったことだけで、借りる人が同じ割合で減ったとは言えません。すでにある賃貸住宅への入居や、空室の状況は、この表には含まれていないためです。
新しく供給される貸家の動きと、現在使われている貸家の状況は、別に確かめる必要があります。
持家は、戸数が減っても割合は近い
持家は、2015年の7,241戸から2025年の3,224戸へ、55.5%減りました。
一方、総戸数に占める割合は、46.5%から46.9%へと、両年で近い数字になっています。持家の減少率が、総戸数の減少率とほぼ同じだったためです。
割合があまり変わっていなくても、着工した戸数は大きく違います。「全体の中でどれくらいを占めるか」と「何戸あるか」は、並べて見たい数字です。
なお、この持家の割合は、県内の世帯の持家率ではありません。その年に新しく着工した住宅の内訳を示しています。
分譲住宅は、戸数と割合で違う姿が見える
分譲住宅は、2015年の1,497戸から2025年の1,303戸へ、13.0%減りました。
持家や貸家と比べると、両年の減少率は小さくなっています。そのため、総戸数に占める割合は9.6%から18.9%へ上がりました。
割合だけを見れば大きくなっていますが、戸数が増えたわけではありません。ほかの種類の着工が、それ以上に減っています。
この期間で分譲住宅が最も多かったのは、2019年の2,380戸でした。2022年にも、前年の1,814戸から2,132戸へ増えています。
総戸数が減り続けた期間にも、分譲住宅には増えた年がありました。県全体の流れと、住宅の種類ごとの流れは、必ずしも一致しません。
福島県全体の数字から、地域の違いへ
今回の表は福島県全体です。中通り、会津、浜通り、それぞれの地域で同じ変化が起きているとは限りません。
また、この10年間の着工の変化を、人口減少だけで説明することもできません。復興に関わる住宅供給を含め、時期や地域ごとの背景を考えるには、別の資料も重ねる必要があります。
この表からまず確かめられるのは、いつ、どの区分の住宅が、何戸着工されたかということです。増減の理由や、その後の使われ方は、次に調べたい部分として残ります。
工事中だった家にカーテンがつき、玄関に傘が置かれる。着工の数字の先で、少しずつ日常が始まっていきます。
新しく建つ住まいと、すでに誰かが暮らす住まい。その間にある変化を、もう少し見てみたいと思います。
※出典:国土交通省「建築着工統計調査・住宅着工統計」の利用関係別・構造別・建て方別・都道府県別年次表。対象は各年1〜12月で、年度計ではありません。2025年の年計は2026年1月30日公表。割合・増減率は原数値から計算し、小数第1位に丸めています。国土交通省の統計一覧