東北6県で進む人口減少 数字から見える「自然減」と「若者流出」の現在地東北6県の人口は、この10年で大きく減少しています。
青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島の人口を合計すると、2015年の約898万人から、2020年には約861万人となりました。5年間で約37万人、割合にして約4.1%の減少です。
数字だけを見れば緩やかな変化にも思えます。しかし、人口減少は地域全体に均等に起きているわけではありません。県庁所在地や主要都市への人口集中が進む一方、郊外や中山間地域では、より速いペースで人口が減っています。
人口減少を生む二つの要因
東北の人口減少には、大きく二つの要因があります。
一つは、出生数より死亡数が多くなる「自然減」です。
高齢者の割合が上昇する一方、子どもの数や子育て世代の人口が減っているため、出生数の回復だけで人口減少を止めることは難しくなっています。
もう一つは、転入者より転出者が多い「社会減」です。
東北では、大学や専門学校への進学、就職、転勤などをきっかけとして、10代後半から20代の若者が県外へ移る傾向が続いています。特に東京圏や仙台市への移動が多く、若年人口の流出がその後の出生数にも影響します。若者が減ることで出生数が減り、さらに地域の働き手も減る。この循環が、東北の人口減少を加速させています。
宮城県だけでは支えきれない東北の人口
東北の中では、仙台市を抱える宮城県に人口が集まりやすい傾向があります。
ただし、宮城県も人口減少と無縁ではありません。東北各県から仙台市へ移った若者が、その後、就職や転職を機に東京圏へ移るケースもあります。つまり、仙台は東北の人口を受け止める場所であると同時に、東京圏へ向かう中継地点にもなっています。「東北から仙台へ」「仙台から東京圏へ」という二段階の人口移動を考えなければ、東北全体の人口構造は見えてきません。
人口減少は地域の暮らしをどう変えるのか
人口減少の影響は、単に住民の人数が少なくなることではありません。働き手が減れば、商店や企業、医療、介護、公共交通などの担い手も不足します。利用者が減ることで、学校、病院、店舗、路線バスなどの維持が難しくなる地域も増えていきます。一方で、人口が減っても、道路や上下水道、公共施設などの維持管理は必要です。少ない人口で広い地域を支えなければならないことが、東北の大きな課題です。
住宅や不動産にも影響があります。世帯数の減少により空き家や空き地が増える一方、仙台市など利便性の高い地域には需要が集中します。同じ県内でも、住宅需要の差がさらに大きくなる可能性があります。
求められるのは「人口を増やす政策」だけではない
人口減少対策というと、移住者を増やす取り組みや子育て支援が注目されます。もちろん、どちらも重要です。しかし、すべての地域で人口を増加に転じさせることは、現実には簡単ではありません。これから必要なのは、人口を増やす政策と同時に、人口が減っても暮らしを維持できる地域構造をつくることです。医療、買い物、交通、行政サービスなどをどのように残すのか。空き家や既存施設をどう使い直すのか。県境や市町村の枠を越えて、どの機能を共有するのか。東北の人口減少は、遠い将来の話ではありません。すでに始まっている変化を数字で確かめながら、地域の暮らしをどのように組み直すかを考える段階に来ています。