2015〜2025年の住宅着工統計から、住まいの数と内訳を見る
工事現場の前を通ると、建物の完成予想図が目に入ることがあります。玄関が一つの家もあれば、窓やバルコニーがいくつも並ぶ建物もある。
外から見えるのは建物の形ですが、そこで始まる暮らしには、借りて住む、買って住む、自分のために建てるなど、いくつかの入口があります。
宮城県では、どのような住宅が新しく建て始められているのでしょうか。2015年から2025年までの着工戸数を、持家・貸家・分譲住宅に分けて見ていきます。
建てる目的で、住まいを分ける
住宅着工統計の「持家」は、建築主が自分で住むために建てる住宅です。「貸家」は賃貸するため、「分譲住宅」は建売りや分譲のために建てる住宅を指します。
このほか、会社などが社員・職員を住まわせるための「給与住宅」があります。総戸数は、この四つを合わせたものです。
ここでの区分は、建物の形ではなく、建てる目的によるものです。分譲住宅には建売りの一戸建ても含まれますし、貸家にも一戸建てがあります。
また、着工戸数は工事に着手した住宅の戸数です。完成・販売・入居した戸数とは区別して読みます。
着工総数は減ったが、毎年同じ動きではない
宮城県の新設住宅着工戸数は、2015年の23,719戸から、2025年の12,511戸へ減りました。両年を比較すると11,208戸、47.3%の減少です。
ただ、その間には前年を上回った年もあります。
| 年 | 総戸数 | 持家 | 貸家 | 分譲住宅 | 給与住宅 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2015年 | 23,719 | 7,729 | 11,708 | 4,107 | 175 |
| 2016年 | 21,747 | 7,493 | 10,086 | 4,058 | 110 |
| 2017年 | 21,580 | 6,567 | 9,965 | 4,875 | 173 |
| 2018年 | 19,646 | 5,863 | 9,272 | 4,484 | 27 |
| 2019年 | 17,591 | 5,265 | 7,729 | 4,522 | 75 |
| 2020年 | 14,451 | 4,631 | 5,736 | 4,037 | 47 |
| 2021年 | 16,271 | 5,091 | 6,830 | 4,302 | 48 |
| 2022年 | 17,604 | 4,394 | 8,218 | 4,954 | 38 |
| 2023年 | 16,079 | 3,849 | 8,413 | 3,800 | 17 |
| 2024年 | 17,069 | 3,837 | 9,175 | 3,996 | 61 |
| 2025年 | 12,511 | 3,160 | 6,618 | 2,653 | 80 |
※単位は戸。国土交通省「建築着工統計調査」の年次表によります。各年1〜12月の年計で、2015〜2025年の11年分を並べ、10年間の変化を見ています。
総戸数は2020年まで減ったあと、2021年、2022年には増加しました。2024年にも前年を上回っています。
一方、2025年は前年の17,069戸から26.7%減りました。10年間の変化と、直近一年の動きは、分けて確かめたいところです。
貸家が、着工の半数以上を占める
2025年の貸家の着工は6,618戸で、総戸数の52.9%を占めています。持家の3,160戸、分譲住宅の2,653戸より多く、この表のすべての年で、貸家が最も多い区分でした。
ただ、貸家の戸数そのものは、2015年の11,708戸から43.5%減っています。
総戸数に占める割合は、2015年の49.4%から2025年の52.9%へ上がりました。戸数は減り、割合は上がる。ほかの種類も減っているため、こうした動きが起こります。
途中の変化もあります。貸家は2020年の5,736戸から2024年の9,175戸まで、4年連続で増えました。2025年はそこから減っています。
「貸家の着工が多い県」という特徴と、「貸家が増え続けているか」は、それぞれ別に読む必要があります。
持家は、ほかの区分より減少率が大きい
持家は、2015年の7,729戸から2025年の3,160戸へ減りました。減少率は59.1%で、同じ期間の貸家や分譲住宅より大きくなっています。
総戸数に占める割合も、32.6%から25.3%へ下がりました。
これは、新しく着工した持家の動きです。県内にある持家の総数や、持家に住む世帯の割合を示しているわけではありません。
建売り住宅や分譲マンションを購入して住む場合、その住宅は着工時には「分譲住宅」に区分されます。持家の着工だけでは、住宅を購入する動き全体までは分かりません。
分譲住宅には、一戸建ても含まれる
分譲住宅の着工は、2015年の4,107戸から、2025年の2,653戸へ35.4%減りました。
この期間で最も多かったのは、2022年の4,954戸です。持家が前年から減ったこの年、分譲住宅と貸家は増えていました。
また、2025年の分譲住宅2,653戸を建て方で分けると、一戸建てが2,063戸、長屋建てが15戸、共同住宅が575戸でした。
「分譲住宅」と聞くとマンションを思い浮かべることもありますが、宮城県の2025年の着工では、一戸建てが大きな部分を占めています。
建てる目的と、建物の形。この二つを重ねると、総戸数だけより、少し具体的な住まいの姿が見えてきます。
県全体の数字から、いつもの道へ
今回の数字は宮城県全体です。仙台市の動きと同じとは限らず、市町村や地区ごとの違いを読むには、さらに地域を分けた確認が必要です。
貸家の着工が多いことから、そのまま単身者向け住宅が多いとも言い切れません。住宅の広さや入居対象は、この戸数の表だけでは分からないためです。
それでも、借りるための住まい、自分で住むために建てる家、販売するために建てる住宅を分けると、街の工事現場を見る目も少し変わります。
完成予想図の窓の向こうには、まだ誰も暮らしていません。囲いが外れたあと、いつもの道にどんな日常が加わるのか。数字と街の風景を、行き来してみたくなります。
※出典:国土交通省「建築着工統計調査・住宅着工統計」の利用関係別・構造別・建て方別・都道府県別年次表。用語は宮城県「住宅着工統計(新設住宅戸数)」でも確認。対象は各年1〜12月で、年度計ではありません。2025年の年計は2026年1月30日公表。割合・増減率は原数値から計算し、小数第1位に丸めています。