岩手を出る人と、岩手に来る人
地域の人口が減ったと聞くと、県外へ出ていく人の姿が浮かぶことがあります。ただ、人口の変化には出生や死亡も関わりますし、人の移動だけを見ても、出ていく人と入ってくる人の両方がいます。
岩手を離れて暮らし始める人もいれば、岩手を次の住まいにする人もいます。その行き先や来た場所を並べると、岩手とほかの地域のつながりが少し見えてきます。岩手県には、どこから人が来て、どこへ人が移っているのでしょうか。10年の変化と、2025年の行き来を見ていきます。
※この記事では、日本人・外国人を合わせた国内の都道府県間移動を扱います。岩手県内の引っ越しと、海外との転入・転出は含みません。転入者全員を、移住施策の対象となる「移住者」と数えたものではありません。
10年の間に、出入りの人数も変わっている
| 年 | 他県からの転入者数 | 他県への転出者数 | 転入−転出 |
|---|---|---|---|
| 2016年 | 17,733人 | 21,720人 | −3,987人 |
| 2017年 | 17,423人 | 21,845人 | −4,422人 |
| 2018年 | 17,108人 | 22,133人 | −5,025人 |
| 2019年 | 17,682人 | 22,208人 | −4,526人 |
| 2020年 | 16,313人 | 20,264人 | −3,951人 |
| 2021年 | 16,971人 | 19,983人 | −3,012人 |
| 2022年 | 16,894人 | 21,267人 | −4,373人 |
| 2023年 | 16,220人 | 20,843人 | −4,623人 |
| 2024年 | 15,538人 | 20,411人 | −4,873人 |
| 2025年 | 15,835人 | 19,802人 | −3,967人 |
※出典:総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告」各年の結果。マイナスは転出超過。
この10年間は、毎年、転出者数が転入者数を上回っています。2016年と2025年を比べると、転出超過は3,987人から3,967人へ。差は20人ですが、その内側では、転入者が1,898人、転出者が1,918人減っています。差の数字が近くても、行き来する人数の差はさほど大きくないと見られます。
一方、2025年を前年と比べると、転入者は297人増え、転出者は609人減りました。両方の動きが重なり、転出超過は906人縮小しています。10年の変化と、直近1年の変化。双方のデータを参照し、岩手の人の動きを考えていきましょう。
岩手へ来る人は、宮城県からが最も多い
| 順位 | 転入元 | 転入者数 |
|---|---|---|
| 1位 | 宮城県 | 3,084人 |
| 2位 | 東京都 | 1,922人 |
| 3位 | 青森県 | 1,550人 |
| 4位 | 神奈川県 | 1,028人 |
| 5位 | 千葉県 | 989人 |
※出典:総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告」2025年・第6表。
2025年の転入元で最も多かったのは宮城県でした。東京都が続き、3位には青森県が入っています。首都圏からの転入もありますが、隣り合う宮城県や青森県との行き来も、岩手の人の移動を形づくっています。
「県外から来る人」とまとめると遠くからの引っ越しを想像しがちですが、その中には東北の中で住む場所を変えた人もいます。
岩手を出る人の行き先も、宮城県が最多
| 順位 | 転出先 | 転出者数 |
|---|---|---|
| 1位 | 宮城県 | 4,315人 |
| 2位 | 東京都 | 2,985人 |
| 3位 | 青森県 | 1,526人 |
| 4位 | 神奈川県 | 1,468人 |
| 5位 | 埼玉県 | 1,300人 |
※出典:総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告」2025年・第6表。
転出先でも宮城県が1位、東京都が2位でした。
宮城県との間では、岩手へ来た人が3,084人、宮城へ移った人が4,315人で、岩手側の転出超過は1,231人。東京都との間では、転入1,922人、転出2,985人で、1,063人の転出超過です。一方、青森県との間では、岩手へ来た人が1,550人、青森へ移った人が1,526人。岩手側では24人の転入超過でした。
宮城県や東京都へ向かう動きと、青森県とのほぼ釣り合った行き来。同じ表の中でも、相手の地域によって違う形が見えてきます。なお、この表は都道府県単位です。宮城県への転出を、そのまま「仙台市への転出」と読み替えることではない事を前提として考えていきます。
転出超過は、15〜24歳に大きく表れている
| 年齢 | 他県からの転入者数 | 他県への転出者数 | 転入−転出 |
|---|---|---|---|
| 0〜14歳 | 1,185人 | 1,267人 | −82人 |
| 15〜19歳 | 1,024人 | 2,239人 | −1,215人 |
| 20〜24歳 | 3,416人 | 5,562人 | −2,146人 |
| 25〜29歳 | 2,683人 | 3,240人 | −557人 |
| 30〜39歳 | 3,015人 | 3,059人 | −44人 |
| 40〜59歳 | 3,169人 | 3,194人 | −25人 |
| 60歳以上 | 1,343人 | 1,241人 | +102人 |
※出典:総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告」2025年・第8-1表、第8-2表を集計。県内移動を除き、年齢区分を再集計しています。
転出超過が最も大きいのは20〜24歳で、2,146人。15〜19歳と合わせると3,361人となり、県全体の転出超過3,967人の約85%に相当します。
進学や就職と重なる年代ですが、移動の理由は、この統計だけでは分かりません。
30〜39歳では転入3,015人、転出3,059人。差は44人ですが、動く人が少ないわけではなく、両方向に3,000人ほどの移動があります。60歳以上では、転入者が転出者を102人上回りました。県全体では転出超過でも、年代ごとの出入りは一様ではありません。
近くの県との行き来から、岩手の暮らしを考える
岩手の転入元と転出先を見ると、宮城県や青森県の名前が上位に並びます。県境を越えながら、東北の中で暮らしがどのようにイメージ出来るかに影響するのかもしれません。
ただ、移った理由や、岩手での暮らしがその人にどう映っているのかまでは、人数からは分かりません。戻ってきた人なのか、初めて岩手に住む人なのかも、この表では区別する詳細までは見れない。移住先が岩手で暮らすことを考えるとき、仕事や住まいの数字と一緒に、この行き来も見てみる。どこへ移るかだけでなく、そこでどんな毎日を過ごすのかイメージ出来るかがデータに影響するように感じました。