新米を買う日は、おかずにも迷う
新米の袋を買い物かごに入れると、次はおかずが気になります。
焼き魚もいいですし、きのこを炒めるのもよさそうです。ごはんを楽しむつもりで来たのに、合わせたいものが増えていきます。食欲の秋は、買い物かごにも表れるようです。
袋に書かれた「岩手県産」の文字を見ながら、県内の田んぼを思い浮かべます。ただ、車窓から見える景色だけでは、米づくりの規模が増えているのか、減っているのかまでは分かりません。
見慣れた景色の続きを、数字で少し確かめてみます。
岩手の米と田んぼ、6年間の数字
表は、主食用米の作付面積と収穫量を、2020〜2025年の6年間で並べたものです。今年の新米を入口に、2025年産までの米づくりを振り返ります。
| 年産 | 主食用作付面積(ha) | 主食用収穫量(t) |
|---|---|---|
| 2020年 | 48,200 | 266,500 |
| 2021年 | 46,200 | 256,400 |
| 2022年 | 43,700 | 234,700 |
| 2023年 | 42,800 | 235,800 |
| 2024年 | 43,100 | 245,200 |
| 2025年 | 46,900 | 260,800 |
※作付面積は、田んぼ全体ではなく主食用米を作った面積です。収穫量は、ふるい目幅1.70mmで選別した玄米の重量で統一しています。
出典:農林水産省「作物統計調査」。
主食用の作付面積は、2020年の48,200haから2023年には42,800haへ減少し、その後は2年続けて増えています。
収穫量は2022年の234,700tがこの6年間で最も少なく、2025年には260,800tとなりました。表の右下に近いところを見ると、面積も収穫量も増えています。
「増えた」の前に、どの年と比べるか
2025年を前年と比べると、主食用の作付面積は3,800ha、収穫量は15,600t増えています。
ところが、2020年と比べると、面積は1,300ha、収穫量は5,700t少なくなっています。同じ2025年の数字でも、比較する年によって「増えた」にも「減った」にもなります。
数字が気まぐれなわけではありません。こちらが、どこを出発点にするかの違いです。
暮らしの中でも、去年と比べるのか、少し前と比べるのかで、変化の感じ方は違います。毎年会っている人には気づかなくても、久しぶりに会った人には「変わったね」と言われる。数字の比較にも、少し似たところがあります。
岩手の米づくりも、直近の増加だけで見る景色と、6年間を通して見る景色では、受け取る印象が変わります。
いつもの景色に、時間を重ねる
2020年と聞くと、少し前のようでもあり、ずいぶん前のようでもあります。その頃はどこで米を買っていたのか、家では何合炊いていたのか。統計の年を見ているうちに、自分の暮らしのほうを思い返してしまいます。
県全体の米づくりが変わる間に、食べる側の暮らしにも、それぞれの変化があったのでしょう。
田んぼを通り過ぎるとき、目に入るのは今の景色です。そこに数年分の数字を重ねてみると、同じ場所にも時間が流れていたことを、あらためて感じます。
今年の新米を買って帰ります。来年またこの季節になったとき、今日の買い物が、ひとつ前の年の記憶になっているのかもしれません。