子どもの頃から、トイ・ストーリーが好きだった。
ウッディやバズが動き出して、仲間たちとあれこれ騒いでいる。
おもちゃがしゃべる世界に夢中になって、笑ったり、ちょっと寂しくなったり。
そんなふうに観ていた映画を、今回は少し違う立場で観た。
トイ・ストーリー5。
親になってから初めて観る、トイ・ストーリーだった。
しかも今回は、娘と一緒に映画館へ。
映画が始まってしばらくすると、ボニーの姿が目に入る。
娘と並んで映画を観ていることもあって、ボニーの姿が少し娘と重なって見えた。
おもちゃで遊んでいる姿。
夢中になっているときの顔。
大人からすると「それ、そんなに面白いの?」と思うようなものを、いつまでも大事そうに持っているところ。
昔は、おもちゃたちの物語として観ていた。
今回は、少しだけ違って見えた。
そんなふうに観ていると、ジェシーたちの気持ちも、以前とは少し違って見えてくる。
娘もいつか、おもちゃを卒業する日が来るのだろうか。
そう考えると、床に転がっているぬいぐるみやおもちゃたちが、急に大事なものに見えてくる。
さっきまで踏みそうになっていたのに。
たぶん、子どもが成長するというのは、こういう小さな変化の積み重ねなのだろう。
今まで好きだったものに興味を示さなくなったり。
できなかったことが、いつの間にかできるようになったり。
親の知らないところで、少しずつ次の場所へ進んでいく。
分かっているようで、普段はあまり考えていない。
毎日のことで精いっぱいだから、床のおもちゃを踏んで「痛っ」と言っているくらいが、ちょうどいいのかもしれない。
それでも、トイ・ストーリー5を観ていると、そんな日常が少し違って見えた。
「今を大切にしよう」なんて、立派なことを思ったわけではない。
明日から急に、娘のおもちゃを全部きれいに片付けなくなるわけでもない。
たぶんまた踏む。
そして「なんでこんなところにあるんだ」と言う。
でも、そのあとに少しだけ笑えるかもしれない。
映画を観終わって、娘と一緒に映画館を出る。
娘もすっかりトイ・ストーリーにハマってしまったようだ。笑
日々のやらなければならないことを頭の中に詰め込んで過ごしていると、心にも知らないうちに、いろいろなものが積もっていく。
トイ・ストーリー5を観て、それが少しだけ取れた気がした。
大げさに言えば、心が洗われた。
でも、たぶん本当に大げさなのだろう。
映画を一本観ただけなのだから。
それでも、映画館を出たあとの娘の楽しそうな様子を見ていると、それだけで少し気持ちがほどける。
トイ・ストーリーを好きだった頃の自分と、今、娘と一緒に観ている自分。
同じ映画なのに、見えるものが少し違っていた。
親になって観るトイ・ストーリーは、やっぱり少し違った。
ライター:日向 たまき