日々東北現代|ARTICLE

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私をカシオペアで連れてって|鉄道を知らない父が、息子に連れられて最後のカシオペアへ

鉄道好きの息子に誘われ、上野駅に停車する寝台特急カシオペアへ。鉄道に詳しくない父が、空間デザインの視点から120分の体験を追う。

鉄道を知らない父、上野駅へ

鉄道を知らない父が、鉄オタの息子に連れられるがまま、最後のカシオペアを見に行った。正確に言えば、私は鉄道に詳しくない。車両形式も分からなければ、寝台列車の歴史を語れるわけでもない。

一方、息子は鉄道が好きだ。

列車を見れば形式が分かり、駅へ行けばホームの端まで歩き、気になる車両があれば何時間でも眺めている。

そんな息子に誘われて向かったのが、上野駅だった。

カシオペアの登場を待つ上野駅ホーム。列車を待つ人たちの熱気が、すでに特別な時間の始まりを感じさせる。

走らない。それでも「16:20 SAPPORO」

目的は、寝台特急「カシオペア」。ただし今回、列車は走らない。ホームに停車したカシオペアの車内へ入り、実際の設備や空間を体験するイベントだった。それでもホームの発車案内には、

CASSIOPEIA 16:20 SAPPORO

の文字が表示されていた。列車は動かない。

けれど、かつてこのホームから札幌へ向かった時間を思わせる演出が、乗車前から気分を少しずつ変えていく。

動かないカシオペアに表示された「16:20 SAPPORO」。かつての旅を思わせる演出も、この体験の一部だった。

目の前にあったのは、鉄道というより「体験」だった

正直に言えば、最初の私は「そこまでして見るものなのだろうか」と思っていた。しかし、ホームで実車を目の前にすると、その印象は少し変わった。

機関車と連結されたカシオペア。

銀色の車体。

独特の窓。

鉄道に詳しくなくても、「普通の列車ではない」ことは分かる。そして何より、周囲に集まった人たちの表情や、車両を見つめる息子の様子を見ていると、この列車が単なる移動手段ではなかったことが伝わってくる。

機関車と連結されたカシオペア。鉄道に詳しくなくても、独特の存在感は十分に伝わってくる。

車内へ入ると、興味の向きが変わった

ホームの熱気から一歩、車内へ入る。

そこで最初に感じたのは、「豪華さ」よりも空間のつくり方だった。

限られた車両幅。

限られた天井高。

その中に、椅子やテーブル、照明、窓、通路が整理されている。

私は普段、建物や空間を見る仕事をしている。

だから次第に、列車そのものよりも、「この限られた寸法の中で、人が過ごす空間をどう成立させているのだろう」という方が気になってきた。

ホームの熱気から車内へ。ここから興味は「鉄道」から「空間」へと少しずつ移っていった。

息子は列車を、私は空間を見ていた

息子にとっては、憧れの寝台特急。

私にとっては、動く建築物のような空間。

同じカシオペアを見ていても、親子で見ているものは少し違っていた。だから今回は、鉄道ファンではない私なりの視点で、カシオペアを見てみることにした。

列車の歴史を網羅する記事ではない。車両スペックを細かく解説する記事でもない。

120分の体験の中で、なぜ人を惹きつけるのか。
限られた空間をどう使っているのか。
そして、その体験に何が残るのか。

そんなことを、息子と一緒に歩きながら見ていく。

「私をスキーに連れてって」ならぬ、

私をカシオペアで連れてって。

ここから、その120分を振り返ってみたい。

編集部 フランク・ミサオ

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