日々東北現代|ARTICLE

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山形の地酒を、少し考えてみた。

酒米と吟醸造りから見えてくる、山形の酒

山形の地酒を眺めていると、「吟醸」という言葉が何度も目に入ります。

今回の酒造年度で、山形県内で実際に清酒を製造した場数は44場。数字だけを見ると、東北の中でも酒造りが盛んな県のひとつだと分かります。ただ、山形の酒を考えるとき、蔵の数だけでは少し足りない気がします。

もうひとつ気になるのが、酒米です。

山形で育てられてきた酒米

山形県では、県独自の酒造好適米がいくつも育てられてきました。

代表的なのが「出羽燦々」「出羽の里」「雪女神」。

「出羽燦々」は1995年、「出羽の里」は2005年、「雪女神」は2015年に誕生しています。県では、酒蔵や生産者、行政などが関わりながら酒米の育成に取り組んできました。なかでも「雪女神」は、大吟醸向けの酒米として育成された品種です。大粒で、タンパク質含有量が低く、高精米にも向く性質が紹介されています。

酒米というと、つい「酒をつくるための米」とひとまとめにしてしまいます。でも、同じ山形県産の米でも、品種によって役割が違う。

吟醸酒を考えるとき、香りや味わいだけを見るのではなく、その前にある米まで戻ってみると、少し違った景色が見えてきます。

「吟醸王国」の中身を眺めてみる

山形県は、2016年に日本酒の地理的表示「GI山形」の指定を受けています。

県の資料では、県内の酒蔵が互いの技術を学び合ってきたことや、酒米の育成を酒造りと結びつけてきた歩みが紹介されています。元の原稿にあった「吟醸王国」という言葉も、こうした積み重ねの中から出てきたものなのかもしれません。

十四代、出羽桜、米鶴、楯野川、初孫、東光、秀鳳。

知っている名前を並べてみると、同じ「山形の地酒」でも、それぞれに違う酒蔵があり、違う酒造りがあります。酒米についても、「出羽燦々」は吟醸酒向け、「出羽の里」は純米酒向け、「雪女神」は大吟醸向けとして、それぞれ異なる方向に育てられてきました。

「山形の酒はこういう味」とひとことで括るよりも、米と蔵の組み合わせをひとつずつ眺めていくほうが、今の山形には近いのかもしれません。

酒米の先に、どんな酒があるのか

酒米を調べていると、日本酒は完成した一杯だけを見ていると分からないことが意外と多いと気づきます。

どんな米を育てるのか。その米を、どんな精米にするのか。そして、どんな酒に仕込むのか。

山形では、その手前の部分から県独自の取り組みが続いてきました。「出羽燦々」から「出羽の里」へ、そして「雪女神」へ。

酒米の名前を追っているだけでも、山形の酒造りが少しずつ変わってきた時間が見えてきます。華やかな香りの酒を見かけたとき、その向こうにある米のことまで考えてみる。

そうすると、ラベルに書かれた酒米の名前が、少しだけ気になってくる。山形の地酒は、飲む前から考えることがいくつかある酒なのかもしれません。

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